わが街の歴史

わが街の歴史

平成2年8月20日 初版発行
平成6年4月10日 改訂版

著者 : 柘植 粂次郎
発行 : 地域の歴史を知る会

私は芝の三田の豊岡町に生まれ、御田小学校を卒え、そして今も同所に住んでいます。 それだけに三田に親しみ、三田のご恩を感じ、三田を大切にしたいと思います。
しかし悲しいことに、私の子ども時代の三田の景観は全くありません。豊岡の街を歩くたびに、そのあたりの昔のありきまを偲び、恋しい思い出を懐かしむのです。

しかし記憶は日に日に薄れて、やがては忘却のかなたに遠のいていくでしょう。記憶や思い出は少しも早く文字に止めておかねばなりません。私は歴史が好きで歴史学者になりたいと、早稲田大学で史学を学びました。 しかし今の私は、歴史とは少し縁が遠くなりました。自分でもやるせない気がします。

そうした悲しみの気持ちに落ちこんでいるとき、同じ町内の柘植粂次郎先生にめぐりあいました。 先生とめぐりあってからも、すでに歴史的な時間になるでしょう。その間を柘植先生は、お忙しい職務の間をたんねんに三田をはじめ昔の芝区から、さらに芝区を包括する港区の史跡を探査し踏査されました。そして史実を的確に記録に残されたのです。

柘植先生のご労作の校正刷を拝見したのですが、その目次を拝見しただけでも関心をそそられ早く拝読したいもの、とそのご完成の早いことを願うものです。
先生は、図書館などの記録や各家の文献だけでなく、実際に歩いて、いわば〝脚で書いた″史書ですから、濃やかな実感が読者の肌に感じられるでしょう。

柘植先生のご苦心をたたえ、かつ感謝し、太秦な喜びを持ってご高著をお迎えいたします。

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