五台山研修旅行を終えて

三宝会会長 吉田 学 
 それはまるでお釈迦様の掌にあるような村でした。丁度、右手の平を上にして指を立てると、親指がちょっと離れた南台、人差し指が東台、中指が一番高い北台すぐ横に中台、そして少し離れて西台とあり、手の平の生命線のように清水河が村の中心を流れています。その河に沿って円仁さんが巡礼をした五台寺院があります。この景色は長い葛折りの坂道と百八段の階段を登った南山寺より一望できます。この五台山へ円仁さんは、赤山を発って二千数百里の道のりを、お供の方数人と数々の苦難を経て四十四日目に到着しました。遮るものも無く、強い風が吹くと身体が飛んでしまいそうな五台の山々、その苦難は大変な事だったと強く感じました。
 私たちは成田空港を飛び立ち北京へ、大原に宿泊しバスで黄土高原を横切る高速道路をはしり二日目の昼過ぎには五台山に通じるポプラ並木を一路走りました。ポプラ並木が途切れたところから、いよいよ五台山への登りが始まります。車窓には岩肌が見え、山裾を羊飼いが羊達を巧みに操る姿が目に映ります。そんな景色にウットリしていますと、眼前に大きな山門が飛び込んでまいりました。五台山についた!!!バスが止まると皆さん一斉に飛び降り第一歩をしっかりとおろしました。

 

五台山の山門


 暫く景色を見渡して再びバスに乗りますと、遥かに寺院が目に飛び込んでまいりました。金閣寺です。その直前に哲明先生が反対側を指差して「皆さんあれが南台です」の声に、くっきりと南台が山頂の仏塔までがはっきりと見える姿を私たちに披露してくれました。「お前たち、よーく来たな、ゆっくりして行けよ」と優しい姿でお声を掛けて下された気持ちが致しました。
 南台に対座する金閣寺の中に、この地で病死された日本の僧霊仙大師の碑がお寺の横に祭られておりました。私たちは般若心経を読経させて頂きました。

霊仙和尚の碑の前で
哲明住職のお話を聞く

 
バスがゆっくりと麓を目指して下りだしますと、先生の「あれが東台ですよ」の声に前方を見ますとスーッとした台形の山がはっきりと見えました。その夜は宿舎で無事を祝って乾杯、夜の更けるのも忘れて・・・・・・・・・・・
 さわやかな目覚め、今日も天気はよし、台懐鎮の一番高所にあります菩薩頂へ到着致しますと、哲明先生が「あの箱が見える山が北台ですよ」と指差す方向には五台山の最高峰北台と中台が紺碧の空をバックにくっきりと聳え立っています。これで四台山を拝見することが出来ました。

菩薩頂より北台(3058m)を望む



 菩薩頂は五台山の本尊文殊菩薩が祀られており、ラマ教の寺院でもあります。寺内には乾隆皇帝が献上した満語、漢語、チベット語、モンゴル語等で刻まれた石碑があります。石段を教りてラマ経開祖宗客巴大師のお堂を拝見して、百八段の石段を下り、露店の並ぶ中を通って中国仏教発源地の一つであります古刹の顕通寺(28〜75年創建)を見学に向かいました。寺院内の大雄宝殿において般若心経の読経と坐禅を行わせて頂きました。静かな空気が肌に染み込んで行く気持ちを頂いて帰りたくなるそんな雰囲気が身体全体を包んでいるような暖かな時間でありました。
 暫くは境内を散策し悠久の歴史を肌に感じて顕通寺を後に致しました。
 次は五台山の目印の大白塔があります塔院寺の参拝です。皆さんで動静の経車を回して満願達成、昼食を取りに一旦ホテルへ。中国の食事は凄い、数も量も多い、五台県の昼食では十八種類の料理がテーブルの上に並び、それが一度に出るから小さな胃袋の我々はそれでもうお腹が一杯。案の定このホテルの昼食も十四種類・・助けてくれー[ちなみに日本にあるような中華テーブル(十人掛け)がお皿で一杯です]
 午後は、円仁さんが五台山巡礼の基点にした竹林寺への参拝、バスに揺られること約十分。
 瓦礫の山肌に真っ白な塔が見えます。そこが竹林寺です。五台山の寺院群から遠く離れた場所にありました。到着致しますと、本堂の前で哲明先生と志賀さんが竹林寺の僧侶にご挨拶、本堂で般若心経を読経した後、慈覚大師堂を見学し帰りかけると、お寺さんから茶菓の用意がしてありますとのお誘いを受けました。講堂には机にお皿一杯のお菓子と果物が用意されており、席に着きますと小僧さんがお茶を注いで下さいました。お席にはお二人の僧侶が座られました。お一人は五台仏教協会副会長の釈妙江師(前竹林寺住職)もうお一人は竹林寺ご住職照寂師で、穏やかに哲明先生とお話をされておりました。竹林寺は文革でかなり破壊され、お二人は復興にお力を入れており五年で完成致しますと我々に完成予定図を見せてくれました。青年の様に目を輝かせて話されていました。暫く歓談の後に外で記念撮影を行い竹林寺を後にして、最後の参拝先であります南山寺に向かいました。今回は紙面の関係上五台山だけのご案内ですが、行きました先々はどこもすばらしいところばかりでした。又村の寺院では必ず子供たちが寄ってきて私たちの心を和ませてくれました。最後になりますが、素晴らしい五台山を私たちに教えて下さいました哲明先生有難うございました。お蔭様で心に残る良い旅を終えることができました。    合掌

村の子供たち