◆三門の言葉◆
一枝の
梅花
雪に和して
香ばし

仏教の真髄は
「自己解体とその再構築」
松原泰道
私はよく人生をマラソンレースにたとえて、四十歳を過ぎたあたりに”折り返し点“があるのではないかとたびたび書いたりお話してきました。そうした考え方をすると、人の一生がじつにうまく辻褄があってくるのです。折り返し点までの、前半の走りはもちろん大切でしょう。しかし本当の勝負どころといえるのは、人によって多少のずれはあると思いますが、出発点でもあるゴールに向かって、来た道を再び戻っていく後半、肉体的にも精神的にも最もきつくなる五十代か、その前後にやって来るようです。そこをどのように走るかによって、前半の走りの意味まで大きく違ってきます。(中略)
東洋には「心身一如」という、こころと体を一つのものととらえる思想がありますが、年齢とともに体が変わってきたのに、こころだけ昔のままではいられません。若いときの価値観や人生観が徐々に変わり、自分というものに対する考え方も変化してくる。あるいは意識的にそれを変えていかなければなりません。(中略)
人は誰でもそれまでの自分を壊しながら、困難を乗り越えていきます。病気、定年、老い、配偶者との死別、孤独・・・。人によってその程度は違いますが、何らかの形で自分を壊さなければ、乗り越えられないのが人生の正念場なのです。そこで自分をとことん解体し尽くした人ほど、そのあとはいきいきとした自分を再構築していかれるようです。だから釈尊は「自分を積極的に壊しなさい」といわれるのです。(中略)
仏教にはいろいろな教義の流れがあって、宗派ごとに坐禅や念仏、観想などさまざまな、いわゆる「行」が存在していますが、それらはすべて、「自分を壊す」ことを目的にしているといっても過言ではありません。(中略)
何を、どう壊すか。そして、いかに再構築するのか…ここで結論を急ぐ必要はないでしょう。急いでわかったもの、あわてて理解したものには、それだけの薄っぺらな価値しかないものです。(中略)
しかしあなたが、あらためて『般若心経』を読んでみようと思われたことは、間違っていません。よくぞ間違わずに選んでくだすったと喜びたいほどです。なぜなら「色即是空」「空即是色」という、あまりに有名な一節が示すように、このお経のテーマは〈自己解体と、その再構築〉にあるからです。
色即是空。『般若心経』に見られるこの四文字について、古来どれだけの人が筆をとったかわかりません。般若思想の核心であるとともに、仏教の真髄でもある一句を私は「自分などというものはないんだよ」と訳したいと思います。
『般若心経』という生き方
禅僧から届いた七通の手紙 松原泰道 著
現代書林2001年1月18日初版
(第一の手紙) より抜粋
五台山研修旅行を終えて
三宝会会長 吉田 学
それはまるでお釈迦様の掌にあるような村でした。丁度、右手の平を上にして指を立てると、親指がちょっと離れた南台、人差し指が東台、中指が一番高い北台すぐ横に中台、そして少し離れて西台とあり、手の平の生命線のように清水河が村の中心を流れています。その河に沿って円仁さんが巡礼をした五台寺院があります。この景色は長い葛折りの坂道と百八段の階段を登った南山寺より一望できます。この五台山へ円仁さんは、赤山を発って二千数百里の道のりを、お供の方数人と数々の苦難を経て四十四日目に到着しました。遮るものも無く、強い風が吹くと身体が飛んでしまいそうな五台の山々、その苦難は大変な事だったと強く感じました。
私たちは成田空港を飛び立ち北京へ、大原に宿泊しバスで黄土高原を横切る高速道路をはしり二日目の昼過ぎには五台山に通じるポプラ並木を一路走りました。ポプラ並木が途切れたところから、いよいよ五台山への登りが始まります。車窓には岩肌が見え、山裾を羊飼いが羊達を巧みに操る姿が目に映ります。そんな景色にウットリしていますと、眼前に大きな山門が飛び込んでまいりました。五台山についた!!!バスが止まると皆さん一斉に飛び降り第一歩をしっかりとおろしました。暫く景色を見渡して再びバスに乗りますと、遥かに寺院が目に飛び込んでまいりました。金閣寺です。その直前に哲明先生が反対側を指差して「皆さんあれが南台です」の声に、くっきりと南台が山頂の仏塔までがはっきりと見える姿を私たちに披露してくれました。「お前たち、よーく来たな、ゆっくりして行けよ」と優しい姿でお声を掛けて下された気持ちが致しました。
南台に対座する金閣寺の中に、この地で病死された日本の僧霊仙大師の碑がお寺の横に祭られておりました。私たちは般若心経を読経させて頂きました。
バスがゆっくりと麓を目指して下りだしますと、先生の「あれが東台ですよ」の声に前方を見ますとスーッとした台形の山がはっきりと見えました。その夜は宿舎で無事を祝って乾杯、夜の更けるのも忘れて・・・・・・・・・・・
さわやかな目覚め、今日も天気はよし、台懐鎮の一番高所にあります菩薩頂へ到着致しますと、哲明先生が「あの箱が見える山が北台ですよ」と指差す方向には五台山の最高峰北台と中台が紺碧の空をバックにくっきりと聳え立っています。これで四台山を拝見することが出来ました。
菩薩頂は五台山の本尊文殊菩薩が祀られており、ラマ教の寺院でもあります。寺内には乾隆皇帝が献上した満語、漢語、チベット語、モンゴル語等で刻まれた石碑があります。石段を教りてラマ経開祖宗客巴大師のお堂を拝見して、百八段の石段を下り、露店の並ぶ中を通って中国仏教発源地の一つであります古刹の顕通寺(28〜75年創建)を見学に向かいました。寺院内の大雄宝殿において般若心経の読経と坐禅を行わせて頂きました。静かな空気が肌に染み込んで行く気持ちを頂いて帰りたくなるそんな雰囲気が身体全体を包んでいるような暖かな時間でありました。
暫くは境内を散策し悠久の歴史を肌に感じて顕通寺を後に致しました。
次は五台山の目印の大白塔があります塔院寺の参拝です。皆さんで動静の経車を回して満願達成、昼食を取りに一旦ホテルへ。中国の食事は凄い、数も量も多い、五台県の昼食では十八種類の料理がテーブルの上に並び、それが一度に出るから小さな胃袋の我々はそれでもうお腹が一杯。案の定このホテルの昼食も十四種類・・助けてくれー[ちなみに日本にあるような中華テーブル(十人掛け)がお皿で一杯です]
午後は、円仁さんが五台山巡礼の基点にした竹林寺への参拝、バスに揺られること約十分。
瓦礫の山肌に真っ白な塔が見えます。そこが竹林寺です。五台山の寺院群から遠く離れた場所にありました。到着致しますと、本堂の前で哲明先生と志賀さんが竹林寺の僧侶にご挨拶、本堂で般若心経を読経した後、慈覚大師堂を見学し帰りかけると、お寺さんから茶菓の用意がしてありますとのお誘いを受けました。講堂には机にお皿一杯のお菓子と果物が用意されており、席に着きますと小僧さんがお茶を注いで下さいました。お席にはお二人の僧侶が座られました。お一人は五台仏教協会副会長の釈妙江師(前竹林寺住職)もうお一人は竹林寺ご住職照寂師で、穏やかに哲明先生とお話をされておりました。竹林寺は文革でかなり破壊され、お二人は復興にお力を入れており五年で完成致しますと我々に完成予定図を見せてくれました。青年の様に目を輝かせて話されていました。暫く歓談の後に外で記念撮影を行い竹林寺を後にして、最後の参拝先であります南山寺に向かいました。今回は紙面の関係上五台山だけのご案内ですが、行きました先々はどこもすばらしいところばかりでした。又村の寺院では必ず子供たちが寄ってきて私たちの心を和ませてくれました。最後になりますが、素晴らしい五台山を私たちに教えて下さいました哲明先生有難うございました。お蔭様で心に残る良い旅を終えることができました。 合掌

見 跡 (四十)
弘舵郎
地球一周の船旅
「無人島に持参する一冊の本は何か」の問いかけを見聞するが、兎に角旅は軽少短薄が第一、そこで船旅だから波浪不能没の「妙法蓮華経」、「禅宗で読むお経入門」岩波文庫「俳句への道」を携行した。時間は沢山あるし、異文化と大自然を相手に見たり考えたりしていると高浜虚子先生の客観写生の影響大にしてポコポコ五七五が浮かんでくる。常時持ち歩いていたメモ帳にその都度書きとどめた俳句らしきもの、川柳もどきを笑覧に供する訳ですが、季語、字余りはわれ関せず、コースの説明にもなるので敢えてペンをとりました。
5月22日 晴海出航 23日より毎日早朝後部甲板の片隅で坐禅をしたが一人も同調者が現れない。
残月に波の音ききつ独坐する
5月31日 シンガポールが近い
夏の海ボートデッキでうたたねす
6月3日 ベンガル湾に入る
なみ舷をたたき船たえて進む
6月6日 スリランカの仏教寺院
山内ははだしがきまりベラン寺
6月9日 赤道通過
走っても走っても海印度洋
6月11日 セイシェル島上陸
セイシェルはみずえの似合う美しさ
6月15日 ケニヤのサハリパーク
ライオンはどこ赤き道ひたすらに
6月19日 紅海に入りエリトリア上陸
十字星左にきらめき船はゆく
紅海は名のみにして青き海
原住民との交流会会場野外スタンドで
両手に花だうしろも華よと声かかる
むし暑いメッカは見えず砂漠のみ
6月25日 昼飯は弁当で運河見物
弁当をデッキでたべて スエズみる
6月27日 エルサレムの嘆きの壁にて
嘆きのかべでおもわず念ず観音経
6月30日 船は地中海に
小島ありヨットも浮いてる地中海
7月8日 ジブラルタル海峡に入り 10日スペイン領ラスパルマス島に上陸し 11日大西洋へ
大西洋ひねもすのたりのたりかな
7月16日 日の出なのに残月あり。徹夜で遊び疲れた若い女「スゴイ日の入りネ」、「ちがうよ日の出だよ」
7月21日キューバの保養地アラデロで
青い空朝日を浴びて海に浮く
7月26日パナマ運河をぬけて太平洋に出る
パナマぬけ祖国は目の前太平洋
7月30日 船首に砕ける波の音を飽かず聞く
なみの音たとえるものなし心地よく
8月9日 シケ模様で寒く外に出られない
肌寒く窓ごしにみる白い浪
8月14日 バンクーバー入港が近い日
船ゆれて行事は中止しらせあり
8月15日 日附け変更線を通過する。 日の出あって日の入りなく、日の出なくて日の入りがある。
昼過ぎて日付を変える面白さ
目の下でイルカのジャンプご挨拶
8月18日 太平洋渡るにかかる2週間、海ばかり
とぶ鳥のねぐらはどこか気にかかる
8月20日 入港も近くなり親しくした人との別れも近づき気持ちの整理にかかる。
船の恋逢うは別れのはじめなり
船の恋うたかたの如く海に消え
寝椅子にて別れを惜しむ船の旅
恋うせて下界に戻る気はよいか
好きだ嫌いがなかりせば楽しかるべき 船の旅
8月22日 末明に晴海に上陸、ホテル浦島に泊まる。ホテル前の赤提灯にとびこむ。
憂き世は嫌だと旅には出たが陸に上がれば屋台店
ご精読ありがとうございました。
軽井沢
日月庵、星雲苑山開き
毎年ゴールデンウイークを中心にして、結集して参りましたが、
交通大混雑の為、今年は左記の通り行います。
ふるってご参加ください。
日時 四月二十日(金)
現地十四時集合
〜二十二日(日)
朝食後、現地解散
費用 三千円
スケジュール 新緑の中、坐禅と作務と親睦会
申し込み締め切り四月十九日

第三回水晶会書初め展を終えて
書初め展実行委員 山梨豪之
水晶会恒例の「書初め展」も早三回目となりましたが、さる一月七日無事終了することが出来ました。これも偏に皆様方のご厚情の賜物と会員一同感謝の念でいっぱいでございます。今年は龍源寺様の新年会に日程をあわせることができ、百名近い方々にご高覧戴くことが出来ました。四年前、村上秀栄先生のもと、書道を学ぼうと始まった水晶会ですが「書初め展」という目標に向かって毎年新鮮な気持ちで「書」に向かい、共に学び、共に歩んでゆく楽しさと大切さを学ばせてもらっています。今年は会場で哲明先生から墨絵のご指導も受け、全員で達磨大師の墨絵を書き上げました。来年は墨絵の作品も含めた楽しい「書初め展」になることでしょう。
泰道先生ご夫妻や多くの方々から戴きました励ましのお言葉を胸に刻み、尚一層の精進をして参る所存です。これからも皆様のご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

◆編集便り◆
創造と破壊を繰り返した二十世紀が終わり、新世紀最初の春がやってきました。すべてが生まれ変わる春・・・にしたいものです。
今月号から新たに三名の編集委員が加わり、津江さんを加えた四名で会報を編集して行きます。もちろん岩沢さん
川島さん、縣さんには従来どおりご協力していただきます。
そこで四名のプロフィールを紹介します。
木下 晃
S十二年生・しし座・A型
趣味・陶芸、料理、お酒大好き
津江慎弥
S十四年生・かに座・B型
趣味・剣道、詩吟、ダンスは勉強 中 お酒ほどほど・・・が目標
相澤善郎
S十五年生・やぎ座・A型
趣味・山歩き、お囃子、お酒まァ まァ
山梨豪之
S十五年生・ふたご座・O型
趣味・山登り、ゴルフ、お酒少々